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店長日記

○宮本武蔵著・「五方之太刀之道 序」

  • 末次通訳事務所 <兵法・英語二刀一流>
  • at 2008/5/29 14:22:31

こんにちわ。下記は 宮本武蔵師が

五輪所作成前に、著した、表題の漢文書籍の書き下しです

 

『五方之太刀道序』

兵法の道たる、たまたま敵と相撃つ利を己に得。
すなわち、三軍の場にもまた移すべし。なんぞ町畦あらんや。
しこうして決戦に面ずるにあらずして、勝ちを慮前に定むる。
待つところあらんや。その道を迪むべし。
しこうして、離るべからず。その法に準ずべし。
しこうして、謬まるべからざるなり。
秘して蔵さず。弁じてしばしば明らかなり。
堅を攻め、節を後にす。
洪鐘、撞くことあるは、ただ堂奥に入りてのみ獲。

本朝、中古、芸に渉りて、この法を唱うる者、数十家あり。
その道たるや、強きを侍みて粗暴をほしいままにし、
柔を守りて細利をたしなむ。あるいは長きに偏し、短きを好むなり。
刀法を構ゆるに数種出るにいたり、表となし奥となす。
ああ、道に二無きを。なんぞシ謬なるかな。
邪をひさぎ名を貪るのともがら、法を舞い、術を衒い、世人を眩曜す。
その狭小に勝ち、すなわち、いわゆる、有術、無術に勝ち、
片善、無善に勝つ。
道と云うに足らんや。一取する所なし。

吾がともがら、潜精鋭思ここに陳ぶ。しこうして、初めて融会す。
それ武士は、行座、常に二刀をおび、その用の便利を願う。
ゆえに道根二刀、二曜麗天。
法を五用に樹て、五緯に供極す。
歳運の斡転して、突起に衝拒する所以なり。
構えてなすに、五法あるを要す。時に、措くの義あり。
必ず操刀は、表奥のために有るにあらず。
もしそれ、一旦こと有りて、すなわち、長短並び抜く。
短にしてかならず長あらざれば、短にして敵に往く。
しこうして、短必ずなくば、すなわち、徒手にてこれを縛つ。
勝利往くとして、われに在らざること無きなり。
しかるに、尋ぬるに足らずして、寸に余りあらんや。
強きは弛むべくして、弱きは設くることあり。
みな、偏好せずして、時にその中を執らんと欲す。
しこうして、中は天下の王道なり。わが道この規なり。

ある人、間有りていわく、いずくんぞ知と否と有らんやと。
趙括、泰に蹶し留候、漢を佐く。
有知無知あい較ぶれば、すなわち、なんぞ魚目の随珠に唐突あらんや。
そもそも、古将の言えることあり。
剣は一人の敵、しこうして、万を撃つことを学ばんと。また隘局なり。
己に達してこれを見れば、万陣の勝敗、完城の陥潰、頚然相形、
なお、その掌に示すがごとし。ああ誰か、その小、また大となさんや。

およそ、習う者は、諄々然としてよく誘いて、あまねく達することあり。
易くして誥すにあらず。
その、これを求むるに、回を釈き正に趣、日錬月鍛、己に勤み、功を積み、
則神して符会す。目撃して存すべし。
周旋して道にのっとり、闇に服して愆らず。
ほか、臍をかむこと、あるなきを期す。しこうして後、よく得。

もし手技、卓絶して、百巧の変に騁する者ありて、
その技、これ谷まれりとも、
人に伝ゆるは、すなわち、なお藩に拾うがごときなり。
独りわが道を心得て、手を応し、
しこうして、必ず百世の師たることあり。
これを亜ぐ後、道を言うことありても、必ずわが道に従うなり。
道は同一、軌、何ぞ多からんや。
たとえ、それ舊きを厭いて新しきを吐くも、
夷路を舎て、曲径を踰ゆるなり。天鑑、誇るにあらずして大。
この道、言うべきこと、かくの如し。ただ誠心と直道あるのみ。
よって、舊これを序となす。
                           以上


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